ポスドクの就職
ポスドクの就職に関する問題は日本国内ポスドク・海外ポスドクともにかなり根深い問題としてとらえられています。
最も大きな問題点は、ポスドクの人数に対して、助教・講師・准教授・教授などのいわゆるアカデミックポジション(アカポジ)の数が圧倒的に少ないということが挙げられます。
もちろん、アカデミックの研究職というのは、競争社会そのものであり、能力がなければ就職して生き残っていけないというシビアな側面があります。
また、このような競争社会というのは、100%実力だけで評価されるわけでなく、さまざまな要素が評価に複雑に絡み合ってくるのは、何もアカデミックだけでなく、どんな社会にもあるものです。
そういう競争社会のなかで、ポスドクが「将来のポジションがない」と不満を述べるのは、自己責任論(いい大人が自分の意思で職業を選択したのだから、結果にも責任を持つべきだ)を問う声も少なからずあります。
ある一面、そういう部分はあるでしょう。
華やかなプロスポーツ選手でも、引退すれば、一部の人脈や商才のある人を除き、非常に地味で質素な生活になってしまうそうです。
研究者・科学者もそういう部分があるのかもしれません。
しかし、論理的・科学的思考や英語の語学力など、平均以上の能力を持っている(はずの)博士号取得者の多くを、その能力を発揮する機会のないまま路頭に迷わせるのは、大きな損失だと思います。
また、プロスポーツ選手であれば、20台前半から30歳くらいまでに才能の見切りがつけられますので、人生のやり直し・再就職はまだ見込みがあります。
しかし、ポスドクの場合、早くても27歳という高い年齢でそのキャリアをスタートさせますので、才能の見切りをつけた時点で時すでに遅し、ということもあります。